荒尾アソニット工場  熊本県荒尾市土手町


 昭和38年11月8日の三井三池三川坑大災害によって458名の犠牲者が生み出された。遺族の中には、 新婚生活がやっと1年、しかも長男出産後わずか10日目に最愛の夫を失うというような未亡人が多数生み出された。三井鉱山は、 これら遺族に対して弔慰金40万円、葬祭料10万円を支給した。命と引き換えさせられたこのようなわずかな補償金を、まさに夫 の体を少しずつ切り取る思いで遺族たちは食いつぶしてきた。そしてとうに食いつぶすものが無くなってきたとき、妻たちは生 きていくために大牟田のみならず東京をはじめ全国各地に働きに出たり、里帰りしたり、あるいは再婚したりした。
 そういった中、昭和39年4月1日、三池労組の要求により、三井鉱山は遺族対策として大牟田に三池縫製株式会社、荒尾にアソ ニット株式会社を発足させ、未亡人たちに職をあっせんした。
 しかし、現状は、「アソニット工場等は、ひどいのになると、死亡した人の未亡人が一日働いてもらっておる金が一日にわず か120円。これは三池炭鉱の会社が、会社のふところから別に300円ずつそういう人には金を出してくれている。しかもこの120円 というのは、6カ月間の職業訓練を経て就職をしておる未亡人が120円しかもらっていない。それはまだ技術が未熟だから、ほん とうはこれはまだ仕事にはなっておらぬのだという理屈をつけて、そんなめちゃくちゃな金しか出していない。」(昭和40年2月24日 第48回国会予算委員会第三分科会 より抜粋)というものであった。
 そして、平成7年10月19日、これら遺族対策は打ち切られ、荒尾アソニット工場は閉鎖された。



荒尾アソニット工場(2004年8月1日撮影)

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